官庁施設①_ 大型車両等車輪圧による床版設計用荷重について

どうも。imotodaikonです。

 

今回は官庁施設において大型車両が出入りする場合のスラブの設計における注意点についてお話します。

 

ネットにもUPされていますが、「平成30年版建築構造設計基準」のP.11にスラブに作用する荷重について明記されています。内容は下記の通りです。

 

4.91 移動荷重

(1) 大型車両等車輪圧による床版設計用荷重

 大型車両等の車輪圧による床版の検討は、想定される車両重量と前輪及び後輪に対
する分配を考慮し、集中荷重として作用するものとする。また、消防自動車等のよう
にアウトリガ-を使用することが予想される場合にも、支点に集中荷重がかかるもの
として設計を行う。
ただし、通行頻度等が少ない場合には、短期荷重として取り扱ってよいものとし、
トラック、消防自動車等の大型車両による床版設計用荷重は、積荷等載荷状態にある
車両の総重量を車体の投影面積で除した平均荷重に、車の移動時の衝撃による割増し
(衝撃係数 1.25)を考慮した値を用いる。なお、床版設計用荷重を特に調査しない場
合には、表 4.3 によってもよい。
なお、建築物全体の検討を行う場合の積載荷重の値としては、平均荷重(衝撃係数
は考慮しなくてよい。)を採用して設計してもよい。

 

出典:国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課

URL:https://www.mlit.go.jp/common/001232972.pdf

 

アウトリガーとは、車体を水平に保つ為の装置ですね。

(車体横から出るアーム上の物で、地面に設置させて高さ調整等を行うもの)

 

ここで言いたいことは、

①消防車や除雪車などの大型車両が出入りする建物の床は、安全を見込んで車両の投影面積で車両総重量を除し、積載荷重を算出すること。そしてその積載荷重を用いてスラブの検討を行うこと。

②上記で算出した積載荷重には安全係数として1.25倍の割増率を見込むこと。

③車両が建物内に常駐していないとか、短期的な使用にとどまる場合は短期荷重として扱ってよい。

以上の3点です。

 

①から解説します。

例えば幅2.5m,長さ10m,車両総重量10,000kgの車両があったとします。

この時、積載荷重Ws=10,000/(2.5x10.0)x9.80665=3922.66N/m2。切り上げて4,000N/m2。

そして②にあるように安全性の観点から、衝撃係数1.25を乗じます。

Ws=4,000*1.25=5,000N/m2。となりますね。

これが設定すべき積載荷重となります。

 

一般に積載荷重は

1.床用

2.小梁用

3.架構用

4.地震

の4つに区分されます。

床用が最も大きく、地震用が最も小さくなります。

建築基準法施行令第85条(積載荷重)に定められている以外で、自分で積載荷重を設定することも多々あると思いますが、床用は地震用の2倍、架構用は地震用の1.5倍、小梁用は床用と同じか、床用と架構用の平均値とされている方も多いのではないでしょうか。

(このあたりの設定は設計事務所によると思います。実際、私が勤めた事務所では、小梁用は床用と同じとする所もあれば、床用と架構用の平均値をとるなど、様々でした。)

 

また、③ですが、

要約すると、場合によっては短期荷重とみなしてよいと書いていますね。

文字通り短期荷重時のみに車両の積載荷重を考慮してスラブの設計を行えば良い訳ですね。

  

もし車両が出入りする箇所の床が土間なのであれば、構造スラブのような設計は必要ないと思いますが、接地圧の検討や、パンチングの検討等は行っておいた方が賢明かもしれません。

 

今回は官庁施設の床版の設計に関する内容でした。

いかがだったでしょうか。

 

質問や、ここおかしいよ等お気づきの点がありましたらコメントいただけると嬉しいです。

 

今日はこの辺で。それでは。