層間変形角とは

 

どうもimotodaikonです。

今回は、層間変形角というものに触れていきます。

 

(層間変形角は二次設計の内容になります。本来は一次設計から順を追って解説するべきだと思うのですが…。気まぐれで書いているのでお許しください。一次設計、二次設計の違いについても今後解説していきます。)

 

層間変形角とは非常に重要な概念です。是非理解しておきましょう。

まず層間変形角とは何かお話します。

 

層間変形角とは、建物が風や地震力を受けたときの各層の変形角のことです。

各層とは、下階の床スラブ天端~上階の床スラブ天端間のことです。

 

この層間変形角には制限値があり、一次設計時(許容応力度設計)の規定値は1/200以下とされています。

規定値には緩和措置があり、最大1/120まで低減が可能です。

層間変形角の制限値を設ける理由は、あまりに変形が進むと内・外装材のような非構造部材が建物の変形量に追従できず、破損や落下する可能性がある為です。

一次設計は比較的頻度の高い中小地震を想定した設計です。

なので、柱や梁などの構造部材はだけでなく、内外装材などの非構造部材に損傷が生じることも禁止されているのです。

もし、外装材が落下すれば人命に関わる重大事故につながります。

そこで変形角の制限値を設け、その制限値を超えない範囲で設計することが義務付けられています。

ちなみに、緩和措置には二種類あり、

①1/150とする場合

②1/120とする場合

があります。

 

当然、1/200から緩和する以上、危険側になるわけですからある条件を守らなければなりません。

①の1/150の場合は、2つの条件があります。

条件1:ALC取り付け工法基準によってALCパネルを取り付ける場合

条件2:外壁仕上げが金属板、ボード類、スレート版、合板、小幅板等で脱落の恐れの無い様に取り付けられた建物の場合

これらは、どちらか一つを満足すれば問題ありません。

 

②の1/120の場合は

ラスモルタル壁の建物で2階以下のもの

に限ります。

 

正直、実務で1/120まで緩和することはあまりないかなと思います。

あっても1/150以下かと。

緩和せずに基準値の1/200以下を満足することが一番望ましいです。

変形しやすいということは、柱、梁部材の剛性が低いということですからね。

物件によって判断は分かれますが。

 

(上記は、実務から見た鉄骨構造設計P.58から引用しました。初心者向けに丁寧に分かりやすく解説してある良書です。これから構造設計者を目指される方には購入をお勧めします。リンク張っておきます。)

 

文字だけでは分かりづらいので例題を解いてみましょうか。

 

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このような建物があったとします。

P1からP3は各階の節点に作用する地震力とします。

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そしてこれが外力を受けた結果変形した建物の図です。

γ1からγ3は、各節点の変形量を示します。

変形角の制限値を1/200以下として計算してみましょう。

変形量はγ1=5mm,γ2=10mm,γ3=15mmと仮定します。

各層の高さは4m→4000mm。

 

よって層間変形角は、

1層→γ1/4000mm=1/800<1/200…OK

2層→γ2/4000mm=1/400<1/200…OK

3層→γ3/4000mm=1/266<1/200…OK

 

となります。

各層とも指定層間変形角を満足しましたね。

変形角は部材剛性や外力、各層の高さ等によって決定します。

変形角を抑えたいのであれば、

・外力を小さくする

・部材剛性を高くする

・層高を見直す

といいかもしれません。

 

今回は層間変形角について触れてみました。

いかがだったでしょうか。

 

質問等ありましたらコメントください。

それでは今回はこの辺で。

ではまた。

 

 

実務から見た鉄骨構造設計 第三版

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