基礎偏心と杭頭応力の処理

どうもimodaiです。

 

今回は基礎偏心と杭頭応力の処理について考えます。

 

基礎偏心とは?

基礎偏心とは、基礎芯と柱芯がズレた状態の事を指す。基本、柱芯と基礎芯は揃えるものである。何故なら、偏心させると負荷応力が生じ、構造設計上不利な設計になる事が多いからである。極力基礎は偏心させたくないが、やむを得ず偏心させる場合もある。それは、敷地境界線や隣地境界線とのクリアランスが取れない場合や、既存建物の基礎と干渉してしまう場合等が考えられる。

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パターン①基礎偏心なしの場合→柱芯=基礎芯となる場合(基本形)

 

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パターン②境界線とのクリアランスによる基礎偏心がある場合→境界線とのクリアは500mm程取る事が多い
 

パターン③既存棟との基礎芯々距離を確保する為(干渉を避ける為)の基礎偏心がある場合→新設棟側と既存等側の所定の基礎芯々距離を確保する必要あり→要杭屋相談

 

理想は基礎偏心させないこと

基礎を偏心させることは設計者としてはあまりやりたくない。先ほども書いたように負荷応力が発生するからだ。でもやむを得ない場合はある。上図のように。基礎偏心させる場合でも極力偏心量を抑えるように工夫する必要がある。

 

・上図のパターン①の場合は基本形で柱芯=基礎芯となる場合である。通常この形式で基礎配置される。

・パターン②は敷地境界・隣地境界との距離が近すぎて偏心させた場合。上図では右側のみに偏心させた場合の図である。大体境界線と基礎面までの寸法は最低でも500mm程度は確保したい。これは施工上の観点からである。もちろん、基礎下側の境界とのクリアが十分に確保できない場合は上方向にも偏心させる必要がある。

・パターン③は新設建物の基礎芯=柱芯とした場合、既存棟の基礎と干渉する為、右方向に基礎を動かしたパターン。この場合気を付けることは、

1.既存棟の杭芯と新設棟の杭芯間隔を確保する事。(図面では基礎芯々と書いているが正しくは杭芯々間)これは施工誤差というか施工する上で杭が斜めに入ったり、拡底杭の場合の拡底部を避ける上で必要最低限確保するべき杭芯々間隔の事で、杭屋に検討依頼すれば出してくれる。 

2.新設棟側の基礎を右側に偏心させたことで、完全に柱から杭がはみ出してしまっている。この場合、X方向地震加力時の応力はX方向に基礎梁連続して通っているので、杭頭応力処理は可能であると考えられる。しかし、Y方向地震加力時はどうか?杭頭応力を処理するための基礎梁がないため、何かしらの処置を講じる必要がある。まあ、基礎梁のねじり耐力に期待するという方法もないわけではないが、あまり現実的ではない。長期+地震+ねじりに対する検討が必要になるからだ。こうなるとそれなりのコンクリートボリュームも必要になるし、ねじり応力を腹筋で処理するにしてもそこそこの本数、鉄筋径になる事が考えられる。(もちろん杭頭応力によるが)

そこで一つの案として、基礎梁に水平ハンチを設け、そこに補強筋を配筋するという方法が考えられる。例えば、Y方向に地震力が掛かった時、水平ハンチ部に配筋した補強筋を介して杭頭応力を"FG11"に伝達しようとするものである。この際検討方法としては、杭頭曲げM+杭頭せん断力x基礎梁芯までの距離を乗じた値に斜め方向の割増係数として√2倍程度考慮し、ある程度の余力を見て検討する事である。

これは杭頭応力を処理する方法の一つであり、考え方は一つではない。他にも良い案があればぜひ教えてほしい。

 

今回はこの辺で。

ではまた。