耐風梁は縦使い、横使いどっち?

どうも。今回は耐風梁の方向について考えます。

 

耐風梁とは

まず耐風梁の定義について、耐風梁は名前の通り、風を受ける梁の事である。下図の横に走っている梁が耐風梁。

 

開口上に耐風梁

 

外壁材が縦張りの場合は、基本横胴縁を入れる。逆に横張りの場合は、縦胴縁もしくは間柱を入れて仕上げを受ける。

外壁にも断面性能があり、外壁材が折版の場合、耐風性能も板厚や山高によって異なるので、必要となる胴縁ピッチは外壁の性能にも左右されるけど、一般には@450から@600程度の間隔で入れる。これは縦でも横でも同じ。断面はCチャンのC-100x50x20x2.3~3.2、□-100x100x2.3~3.2とか。4.5厚はあんまり使わないかな。

 

 

 

外壁が縦張りか横張りかによって耐風梁を入れるか判断する

 

で、耐風梁の話から逸れたので話を戻すと、耐風梁が必要になるパターンは大まかに以下が考えられる。

 

①外壁が縦張りで、開口があるパターン。開口上部に耐風梁を配置し、外壁受けの役割を持たせる。(外壁材が横胴縁を必要としない性能を持っていることが前提)

②外壁が縦張りで、シャッターが取り付くパターン。シャッターボックス受けと外壁受けの両方の役割を持たせる。

 

倉庫や工場なんかは②が多い。その場合の耐風梁の検討は、シャッターが下り切ったときを想定して検討する。

 

耐風梁の向きについて

では耐風梁はどっち向きに使うか?横向きかそれとも縦向きか?一般に耐風張りはH形鋼を使うので、縦向きor横向きで断面性能が変わる。よって、どっち向きに使うのが良いのかを考えたい。(まれに角形鋼管を使う場合もあるけどね)

 

 

                 

 

耐風梁は一般にH形鋼を使う+二方向から力を受ける

 

応力が大きい方に強軸を向ける

要は強軸と弱軸を荷重の方向に応じて使い分ければよい。長期の影響が大きいなら、縦使い。風の影響が大きいなら横使い。

 

 

 

耐風梁の方向と荷重の大小関係

 

検討してみる

実際に検討してみる。設計条件等は以下による。

 

 

 

①耐風梁横使い

 

まず、耐風梁を横使いとした場合について考える。

・材長ℓ=5,000mm、座屈止めはないものとし、ℓb=ℓとする。

・設計荷重は、長期荷重1.0kN/m2とし、負担幅を1.5mと仮定する。

風荷重は、速度圧を1.2kN/m2、風力係数を1.2とし、負担幅は長期と同じく1.5m。

 

 

     

長期断面算定(横使い)

 

設計条件はそろったので、長期断面算定から。

両端ピンなので、M=wℓ^2/8。長期荷重は弱軸方向にかかるので、σb=M/Zyにより求める。

結果、曲げ0.44、せん断0.03、組み合わせ0.44でOK。

 

     

短期断面算定(横使い)

 

長期はOKだったので、次は短期断面算定。風は強軸で受けるので、σb=M/Zxとなる。

結果、曲げ0.14、せん断0.08、組み合わせ0.16でOK。長期との組み合わせでも持ってるので、断面算定OKとなる。

たわみの計算は以下による。

 

長期:δy=5w1ℓ^4/384EIy≒11.8mm→1/423。1/300未満なのでOK。

短期:δx=5w2ℓ^4/384EIx≒3.3mm→1/1507。(短期はたわみ規定なし)

 

長期のたわみが1/300未満なので、OKとした。

 

縦使いにしたらどうなる?

では、荷重条件、長さ条件等はそのままで、縦使いにした場合について考える。断面算定結果はどうなる?

 

 

     

長期断面算定(縦使い)

 

長期面算定結果は、曲げ0.14、せん断0.08、組み合わせ0.16。当然横使いより検討結果は楽になっている。

次に短期設計。

 

 

     

短期断面算定(縦使い)

 

短期の結果は上記の通り。長期+短期の結果が横使いよりもきつくなっているのが分かる。

ちなみにたわみは、

長期:δx=5w1ℓ^4/384EIx≒2.3mm→1/2170。1/300未満なのでOK。

短期:δx=5w2ℓ^4/384EIy≒16.9mm→1/295。(短期はたわみ規定なし)

長期はたわみにくくなるけど、短期でたわみやすくなる。

 

ということで、耐風梁を縦使いにするか横使いにするかは、長期と短期の影響が大きい方に強軸を向けるべき。というのが結論。

 

今回はここまで。ではまた。