どうもimotodaikonです。
今回は、鉄筋コンクリート造におけるかぶり厚さについて考えます。
かぶり厚さとは
かぶり厚さとは、コンクリートの縁から柱であればフープ外縁、梁であればスターラップが外縁まで、壁であれば縦筋及び横筋、スラブであれば主筋及び配力筋までの寸法を言う。確保すべきかぶり厚さ(最小かぶり厚さ)には規定値があり、その規定値を下回って施工する事はNGである。
かぶり厚さが小さいとどうなるのか
かぶり厚が小さいと起こる現象として、
①鉄筋が錆びやすくなる。(コンクリートの中性化が鉄筋位置まで進行すると、酸素と水分の作用によって、鉄筋に錆が生じやすくなる)
②構造体の主筋に大きな力が作用した時、主筋に沿ってコンクリートにひび割れが生じ、部材耐力の急激な低下をもたらすことがある。
③火災に弱くなる。(もともと、鉄は熱に弱く、400°を超えると耐力が2/3倍以下に、1000°を超えると耐力が期待できなくなる。RC造建物で火災があった場合を想定し、コンクリートから鉄筋までの距離を稼ぐ必要がある)
おもに以上の3点があげられる。
適切なかぶり厚を確保する事は、構造耐力上非常に重要である。
かぶり厚さの規定値について
では、かぶり厚の規定値について見てみよう。
かぶり厚さの規定値は、RC基準に記載されている。
かぶり厚さの規定値(標準・長期)
上記の表は、建物の計画供用期間の級が標準・長期の場合を示している。また、非構造部材については記載していない。
計画供用期間の級とは、簡単に言うと建物の耐用年数を4つのグレードに分けたものであり、耐用年数は以下による。
①短期(耐用年数およそ30年)
②標準(耐用年数およそ65年)
③長期(耐用年数およそ100年)
④超長期(耐用年数およそ200年)
短期ほど最小かぶり厚さは薄く、超長期になる程最小かぶり厚は厚くなる。また、所定のコンクリート強度がグレードごとに定められており、それらを満足する必要がある。今回は、一般的に構造設計で用いられているかぶり厚として、標準・長期の計画供用期間の級のみ示すものとした。
また、上の表で注記として、
※1耐久性上有効な仕上げがある場合とあるが、具体的にどのような仕上げを言うのかだが、モルタル仕上げや増し打ち、タイル仕上げ等による場合が該当する。基本的にRC造の場合、柱も梁も壁も外部増し打ち(+15mm程度)は行うので、耐久性上有効な仕上げがあるものとしてかぶり厚を設定して良いものと思われる。
耐久性上有効な仕上げ(増し打ちの場合 柱も同様)
設計かぶり厚と最小かぶり厚
上の表でも分かる通り、設計かぶり厚と最小かぶり厚というものがそれぞれ規定されている。構造設計では、設計かぶり厚以上のかぶり厚を見込んで設計する。最小かぶり厚というのは、文字通り最低限必要なかぶり厚という意味だが、これは現場での施工誤差を考慮したものである。例えば、設計上40mmの設計かぶり厚を設定していても、現場では施工誤差が生じるものなので、緩和措置として-10mmまでの誤差なら許容しますよ。という事である。これは「建築基準法施行令79条」に規定されている。
よって計画供用期間の級が標準・長期の場合の設計かぶり厚は、
・柱・梁・耐震壁=40mm以上(土に接する部分=50mm以上)
・スラブ=40mm以上(土に接する部分=50mm以上)
・基礎=70mm以上
として設計すれば基本的に問題ない。
かぶり厚さはコンクリートの縁から最外縁の鉄筋までの距離とする
今回はRC造のかぶり厚について考えました。
今回はこの辺で。ではまた。