鉄骨造①

今日は鉄骨構造について解説していきます。

 

まず、建築物には主に

・鉄骨造(S造)

・鉄筋コンクリート造(RC造)

・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

WRC造(壁式構造)

・木造

等があります。

 

一般に戸建ての住宅は木造や壁式、鉄骨造(軽量鉄骨など)で作ることが多いです。

同じ住宅でもマンションなど高層になるとRC造を用いることが多いです。

SRC造は超高層建築物ですね。これは鉄骨の周囲をコンクリートで覆い、耐力を向上させた構造です。

中小規模の建築構造設計事務所で扱うことはほとんどないと考えてよいと思います。

 

今日はその中でも普及率が高く、初心者でもとっつきやすい鉄骨造について触れていきます。

 

鉄骨造とは文字通り、H型鋼や角形鋼管といった鉄骨を柱や梁に用いた構造です。

上記で書いた住宅のほかに、大スパンで低層の工場や倉庫などにもよく採用されます。

鉄骨造を用いるメリットとして、【鉄骨は重量は軽いが耐力が高い】事があげられます。

鉄の単位体積当たりの比重は7.85。これは1立方センチメートルあたり7.85gを意味します。

1立方メートルあたりでは7850kg。

ニュートン換算すると、1kg=9.80665Nなので、約76982N/m3→約77.0kN/m3と言うことになります。

ちなみに鉄筋コンクリートの単位体積重量は24kN/m3です。

これだけ見ると鉄って重いじゃん!ってなりますよね。

そうです。鉄は非常に重いのです。RCの3倍以上です。

ですが私は初めに【鉄骨は軽くて強い】と書きました。

実は現場ではRH(ロールエイチ)と呼ばれるアルファベットのH型をした鉄骨材をよく用います。

薄いプレートを3枚H形に組み立てた物と考えてもらえばわかりやすいと思います。

プレート1枚1枚は非常に薄いので、必然的に組みあがった鉄骨部材の重量も軽くなるというわけですね。

 

また、鉄骨材は強度も高いです。

鋼材には大きく分けて

・400N/mm2級

・490N/mm2級

の二種類の強度区分があります。(実際は590N/mm2や790N/mm2等の高強度材もありますが、実施ではまず使わないので割愛します)

 

これらの数字は【引っ張り強さ】を意味します。

引っ張り強さとは、簡単に言い換えるとその鋼材が耐えうる最大の力のことです。

400N級ではmm2あたりに400N以上の力が加わると、その部材は【切れてしまう(破断する)】ということです。(kg換算で約40.7kg/mm2)

m2換算すると400x10^6N/m2→40000000N/m2→40000kN/m2です。(kg換算で約40788ton/m2)

数字にしてみるとすごいですね。

いかに鉄骨の強度が高いかわかります。

ただこれはあくまで1mの立方体の引っ張り強さである点にご注意下さい。

(実務で用いる鉄骨の引っ張り耐力はもっと小さいです。それなりに耐力はあるんだなぁと考えていただければ良いです。)

 

ここまで鉄骨構造のメリットを挙げてきましたが、当然デメリットもあります。

それは

・熱に弱い(500℃以上で引っ張り強さが1/2,900℃以上で1/10程度となる)

・錆びる。

・圧縮力に弱い(座屈しやすい)

等です。

 

これらの短所を解消するために、

・熱に弱い→耐火被覆を施す。

・錆びる→さび止め塗装を行う。

・圧縮力に弱い(座屈しやすい)→座屈止めを設ける。

 

といった方法をとります。

これらはまた別の機会に深堀りしていきたいと思います。

 

今回はこの辺で。

それではまた。