どうもimotodaikonです。
今回はRC柱と座屈の関係について考えます。
座屈とは?
座屈というのは、柱材などに圧縮力が加わった時、力に耐えきれず部材がはらみだし、結果折れてしまう現象の事。座屈が問題になるのは鉄骨造の場合が多い。鉄骨造で特に使用頻度が高いH形鋼などは、重量・材料を削るために必要最低限の断面としている為、座屈に対して弱い性質を持っている。それは例えば角型鋼管についても同じで、角型鋼管は一般にH形鋼に比べて圧縮耐力は大きいものの、中空断面なので、ある一定以上の力が加わると座屈する。例えば中空層にコンクリートを入れたら?座屈しにくくなることはイメージしやすいと思う。(これはCFT構造と呼ばれる)
ここで言いたいことは、一般に座屈といえば鉄骨造特有の現象なのではないの?というのは間違いであり、RC造でも座屈という概念は存在するよという事。
RC柱の座屈の評価方法
RC柱の座屈について考えるとき、一つの指標があるので紹介したい。RC柱で座屈を考慮するべき部材は、
・普通コンクリート造柱の場合:D/h≧1/15
・軽量コンクリート造柱の場合:D/h≧1/10
である。ちなみにDは柱材の最小径、hは高さである。
この内容は、RC基準に記載されている。
【材の最小径とその主要支点間距離の比は、普通コンクリートを使用する場合は1/15以上、軽量コンクリートを使用する場合は1/10以上とする。ただし、柱の有効細長比を考慮した構造計算によって、構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りではない。】(RC基準2010年版P.134より)
ここでいう主要支点間距離というのは、構造階高と考えてよい。普通コンクリートの場合、柱の最小径に対して高さが15倍以下なら問題ないという事。そしてただし書きの文章がある。ここに着目して次の項目は進めていく。
柱の有効細長比を考慮した構造計算とは?
上で述べた、RC基準の引用文であるが、有効細長比を考慮した構造計算とあるが、内容はどんなものなのかを見ていきたい。
【鉄筋コンクリート柱も一般長柱と同様、最小径に比較して柱長さが長いときには座屈を生じる。この長柱公式としてNavierは次式を示している。】
N=cσB/(1+αλ^2)A
N:支持力
cσB:コンクリートの圧縮強度
α:係数で、両端支持のコンクリート柱ではα=0.00005とする。
λ:細長比で、λ=h/iとする。
h:柱長
i:最小断面二次半径
A:断面積
【長柱として扱う場合には、断面計算をするための仮定応力を実存する応力より割増しをする必要がある。(中略)割増係数は解説表14.2に示す通りである。ここでは、長柱として応力の割増をしないでよい限界は、鉄筋コンクリート角柱h/D=15、円柱h/Dk=10以下としている。ただし、Dは角柱の最小径である。】(RC基準2010年版P.144~P.145より)
過去にNavier(ナヴィエ)という人がいたらしく、N=~の式はその人が導いた式のようです。このような過去の偉人たちのおかげで構造設計という職は成り立っています。すごい事。
式の中身を見てみると、柱の許容支持力はコンクリート強度や細長比などが関わっている事が分かる。
また、柱の高さと柱の最小径の比率が15以上となる場合は、応力の割増係数を考慮する必要がある。割増係数は"ω"で定義されており、設計軸力に乗じて計算する。以下の表はRC基準2010年版P.145に記載されている。
ωとh/Dの関係
では実際に例題を通して計算してみる。
Navier式による計算
柱断面b*D=250mm*600mm
柱高さh=4500mm
b/h=1/18<1/15→柱の座屈検討を行う
・断面性能一覧
A=250x600=150,000mm2
ix=D/√12=600/√12=173.2mm
iy=b/√12=250/√12=72.2mm
λ=h/min(ix,iy)=4500/72.2=62.3
Fc=24N/mm2
fcl=1/3*Fc=1/3*24=8.0N/mm2
fcs=1/3*Fc*2=1/3*24*2=16.0N/mm2
・その他条件
ω=1.048(直線置換による)
α=0.00005
・長期許容支持力の算出
NaL=fcl/(1+αλ^2)*A/1000
=8.0/(1+0.00005*62.3^2)*150,000/1000
=1004.7kN
Nas=NaL*2
=2000.9kN
・設計軸力
NL=800kN
Ns=1,600kN
・応力の割増係数を考慮した検討
ωNL=1.048*800=838.4kN<NaL=1004.7kN…OK (0.83)
ωNs=1.048*1,600=1,676.8kN<Nas=2000.9kN…OK (0.84)
今回はRC柱の座屈について考えました。
ではまた。