RC階段の設計_片持ち式階段

どうもimotodaikonです。

今回はRC片持ち式階段の設計について考えます。

スラブ式階段については以下参照ください。

 

 

imotodaikon.hatenablog.com

 

 

片持ち式階段とは?

片持ち式階段とは、片持ち梁のように片持ち形状で持ち出した階段の事である。外部階段などで、RC壁から片持ちで出している階段などが該当する。倉庫や工場なんかだと、鉄骨で外部階段を設けている事もよくある。

 

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片持ち式階段

下図は配筋例。

 

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片持ち式階段と配筋

片持ち式の場合、階段を支持する主筋は壁か梁から出すしかない。そうなると面外方向への曲げモーメントが生じる。壁配筋はその曲げモーメントを考慮して配筋を決定する必要がある。梁に対してはねじりが生じるので、ねじりに対する検討が必要。片持ちの出が長い程、荷重が重い程、生じる曲げモーメントも大きくなるので注意が必要。曲げに対する壁筋の算定はスラブ式の場合も同様に必要。

 

片持ち式階段の計算方法は?

片持ち式階段の計算方法は、片持ち梁と同じ。なので片持ち梁の計算方法さえ知っておけば簡単に計算できる。尚、外部階段には先端に手摺が必ずついているので手摺荷重を考慮して計算する。

それでは、早速実例を交えて解説してみたい。

 

階段形状

まずは階段の形状について。ここでは踏面幅、蹴上寸法、スラブ厚、重量について設定する。考えやすいよう、前回スラブ式階段で用いた形状を採用しよう。重量も同じとする。

 

 

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階段形状

片持ち式階段の設計

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階段の設計

内容を説明する。荷重は10.5kN/m2。これはスラブ(段部)自重+積載+仕上げ荷重である。階段の出寸法は1.5mとした。1.5mの片持ちって結構存在感あるイメージ。大体1.2mくらいがメジャーかな?また、追加荷重としてRC手摺を加えた。手摺幅*高さ=120mm*1200mm。それに両面増打ちの重量を加算して大体4.7kN/mくらい。後は曲げモーメントを求めてやればよい。

 

ここで、算出する曲げモーメントは、単位幅あたりである事から、応力の補正が必要である点に注意。

曲げモーメントの算出より、Me=W*b*L^2+w*b*Lの式を見てほしい。ここではWに"b"を乗じている。bは踏面の幅である。つまり単位m当たりの応力を出そうと思ったら、1mを踏面幅で除した値を割増係数としてMに乗じれば良い訳だ。

結果、Me=4.7kNmとなる。後は、M=at*ft*jの式を用いて必要鉄筋量の計算。結果、1-D13必要と求められた。

ここで一点だけ補足しておくと、片持ち形式なので鉛直震度に対する配慮が必要であるという事。一般に鉛直震度に対しての安全率として検定値0.75未満に抑えるという考え方がある。鉛直震度というのは、地震が作用した時に、片持ち梁などの突出した部材には、1Gの力、つまり長期荷重の2倍の力が加わるというもの。この荷重に対して持っていなければならない。0.75という数値の根拠を示すと、(2/1.5)^-1=0.75である。2というのは荷重を2倍するから2。1.5は部材の長期許容応力度/短期許容応力度の値。その逆数以下の検定値であれば鉛直震度に対しても問題ないと言える。(RCの場合、鉄筋の許容応力度の比較になるので厳密には1.5にはならない)

 

壁筋の設計

次に壁筋の算定を行う。壁に作用する曲げモーメントは、上記で求めたMeをそのまま使うのではなく、0.6Meを用いて計算する。

 

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壁筋(縦筋)の設計

0.6Meを用いる事さえ知っておけば、あとは簡単。段部の鉄筋を求めたように計算すれば良い。ところで、この0.6という値は何なの?と思われるかもしれないが、私もよくわからない。【実務から見たRC構造設計】に記述があったので採用した。最初は、単純に半々の比率で振り分ければいいんじゃないのとも思ったが、階段の取り付き位置によって、長さ比により階段の応力分布は変わってくるはず。安全係数として1.2倍(0.5*1.2=0.6)したと考えてもよいのかも。

あと、縦筋の設計時も単位m当たりに換算して計算しているので注意。

 

 

 

 

今回は片持ち階段について考えました。

配筋図等もできれば記事にしたいと思っています。

ではまた。